前回のブログでカイタック空港での緊張と驚きについて語りましたが、今回はその後の香港での冒険が始まる瞬間です。
九龍半島での第一歩
空港でのトラブルを乗り越え、ようやく香港の地に足を踏み入れました。目の前に広がる夜の街、聞こえてくる異国の言葉、全てが新鮮で期待と緊張が入り混じった心境でした。
成田空港で仲良くなったご家族とはカイタック空港でお別れし、ひとりタクシーに乗り込みました。目的地は九龍半島のホテル。
香港は九龍半島の先端部分と香港島の2つからなり、半島と香港島は地下鉄やフェリーを使って簡単に行き来することができます。カイタック空港は九龍半島側にあります。
九龍半島の南端に尖沙咀(Tsim Sha Tsui)という所があって、日本人観光ツアー客がよく泊まる高級ホテルはここにあります。
私が『地球の歩き方』を使って予約したホテルは尖沙咀(Tsim Sha Tsui)から地下鉄でひと駅北にある佐敦(Jordan)駅の近く、繁華街からは大きく外れた所です。
香港の夜景が背後にきらめき、まるで無数の宝石が散りばめられたような光景を背に、タクシーはネオンに包まれた街へと吸い込まれていきます。
驚きのエレベーターと息苦しい窓のない部屋
ホテルに到着し、無事にチェックインを済ませると、エレベーターで部屋へ向かいます。しかし、このエレベーターがまた一風変わったものでした。日本では見たことのない、まるで映画のワンシーンに出てきそうな、古びた鉄製の年代物。
扉は手動です。箱側の扉は格子状の蛇腹で、手で左へ引っ張って開けます。建物側の扉はノブを回して押して開けるという仕様です。エレベーターは箱側と建物側の2つのドアがあるということを初めて知りました。
動き始める時と到着階で止まるときには、「ガタン」とかなりな振動が伝わってきます。「これ落ちないよな?」と不安になりました。
部屋に入ると、まず驚いたのは窓がないことでした。外の光が全く入らないため、まるで地下にいるような感覚に陥ります。日本ではまず見られない光景です。
香港は土地が非常に限られており、外に面していない建物の内部にも平気で部屋を作るのです。
窓がない部屋は想像以上に息苦しいのに加えて、全く音がしないために時間の感覚が麻痺します。孤独感が一層強まり、誰とも繋がれない孤立感に襲われました。
この状態には耐えられず、翌日に窓のある部屋に変更してもらうことに決めました。
『アヘン戦争、香港マフィア、人身売買』
実はこの旅に出る前、漢方薬局の先生から「いいかお前、よく聞け。香港という所はな、アヘン戦争をやったところだ。香港マフィアが暗躍していて、人身売買が行われている。気をつけろ」と聞かされていました。
万が一にも私の身に何かあったらいけないと心配した先生の愛情から出た発言だったと思うのですが、異国の地でひとり息苦しい窓もない部屋にいると、この言葉が必要以上に心に重くのしかかってきました。
音がしない閉ざされた空間で、その警告が頭の中でぐるぐると回っていたのです。
アヘン戦争、香港マフィア、人身売買、、、
ホテルのフロントでの幸運
部屋に耐えられなくなってフロントに行くと、偶然、日本人の宿泊客宛に国際電話がかかってきました。フロントの係員が困った顔で「お前、日本人だろ? 助けてくれ!」と言ってきたのです。私は電話に出て通訳をすることに。
これがきっかけで、フロントの男性と仲良くなり、彼から香港の隠れた情報や観光スポットについて色々教えてもらえることになりました。現地で生の情報に接することによって、私はとても大きな安心感を得ることが出来たのです。
こうして、初めての海外一人旅は、少しずつ香港の街に馴染んでいくことに。予期せぬ出会いと親切な人々に支えられ、私の冒険はますますスリリングな展開を迎えます。
次回は、いよいよ香港の街を探索し始める様子をお伝えします。ワクワク、ドキドキの香港体験はまだまだ続きます。
お楽しみに!
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