息をのむほど美しい百万ドルの夜景
夜空に浮かぶ香港の街並みが飛行機の窓から目に飛び込んできた瞬間に、私は一瞬呼吸するのを忘れたような感覚に陥りました。あの有名な「百万ドルの夜景」です。その光の海に吸い込まれそうな感覚に、胸が高鳴りました。
でも、その感動も束の間、次に襲ってきたのは緊張感。今は移転したそうですが、当時のカイタック空港は世界一危険と言われた空港で、狭い香港の街中を飛行機がビルの間をぬうように飛ぶのです。
窓の外を見ていると、マンションの窓越しに住民がテレビを見ている様子まではっきりと見えて、本当に驚きました。こんなにも近くを飛んでいるなんて、まるで飛行機が街の一部になったかのような錯覚を覚えました。
異国の空気と深夜の静けさ
飛行機を降りて、最初に感じたのは空気の違いです。日本の夏とは異なる蒸し暑さと湿気に加え、何とも言えない独特の空気と臭い。まるで別世界に足を踏み入れたようでした。
成田空港でのトラブルにより、香港到着は深夜零時を過ぎていました。空港は閑散としており、明かりが消えた店が並ぶ光景は、まるで見捨てられた都市にいるかのようでした。
初めての海外で、しかも深夜に到着したことは完全に失敗でした。
予想外の親切とカルチャーショック
到着後、まず考えたのは、ホテルに連絡を入れなければならないということでした。到着が遅れたことで、予約がキャンセルされたらどうしようという不安が頭をよぎります。
ホテルに伝えてあった到着予定時間は既に過ぎています。
公衆電話を見つけましたが、香港ドルを持っていないため、電話をかけることができません。両替所は閉まっています。焦りが募る中、奇跡的に一軒だけ開いている売店を発見。
お店の人に事情を話してお願いすると、彼は「お店の電話を使っていいよ」と、快く貸してくれました。まさに「捨てる神あれば拾う神あり!」です。
実はこれが、私の人生初のカルチャーショックになりました。電話を借りた後、支払いを申し出ると、彼は笑顔で「いらないよ」と言うのです。驚いた私は、「いや、払いますよ」と言いしましたが、彼は再び笑顔で「いらないよ」。
驚いたことに、当時の香港では国内の電話が無料だったのです。レストランに行くと、「ご自由にお使いください」と、電話が並んでいました。
日本では電話代が高額だったので、まるで別の世界の話のように感じました。
深夜の空港でのスーツケース捜索
一方で、スーツケースが見つからないという問題にも直面しました。
私よりも数時間前に香港に到着しているはずのスーツケースがどこにも見当たりません。キャセイパシフィック航空のターンテーブルも確認しましたが、やはり見当たりません。
深夜の静けさと、ガラーンとした空港。職員に尋ねようと思っても、肝心の職員が見当たりません。ますます心細くなっていきます。
焦る気持ちを抑えながら、同じく乗り遅れた家族と一緒に空港内を必死に探し回り、ついに「Lost and Found」でスーツケースと再会することができました。その瞬間の安堵感は言葉にできません。
スーツケースの中身がカバン2つだけだったことを思い出し、通関の時に開けるように言われたら何か恥ずかしいなと思いましたが、開けろと言われることもなく、無事に入国することができました。
こうして、カイタック空港での驚きと不安を乗り越え、私はついに香港の夜に足を踏み出しました。この瞬間、初めての海外一人旅が本格的に始まったのです。
次回は、香港での冒険がさらに続きます。
どうぞお楽しみに!
この旅から学んだこと(その2)
これから旅行を計画している方へのアドバイスとして、初めて行く所には、夜に現地に到着するのは避けることをお勧めします。夜だと犯罪に巻き込まれるリスクが高まるだけでなく、慣れない土地では不安も大きくなりますし、お店も閉まっていたり、空港のスタッフも少ないことがあるからです。
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