前回のお話
前回、成田空港で飛行機に乗り遅れたところまでお伝えしました。
乗り遅れたとわかった瞬間、ガーンという音と共に目の前が真っ暗になり、視界が完全に消えたのです。
この時、頭をよぎったのは「オレの海外旅行は成田で終わった!」という絶望感、「先生になんてお詫びしよう?」という申し訳ない気持ち、さらに「オレのスーツケースは、あの飛行機の中! あれはどうなってしまうんだろう?」という不安が心を支配していました。
絶望からの復活
その時の私は、まるで世界が終わったかのような表情をしていたのだと思います。
対応してくれた係員は、丁寧に、そして少し気の毒そうに「あの柱のところにコンピューターの端末がありますから、そこに行ってください」と教えてくれました。
今のように全てのゲートに端末があるわけではなかったのです。
「行ってください」と言われたからには、きっと何とかなるに違いないと急に立ち直った私は、言われた通りに端末の所へ向かいました。
そこには男性の係員がいて、乗り遅れたことを伝えると、「チケットを見せてください」と言われました。
チケットを渡すと、彼は上司らしき人と電話で話し始めました。
私の目の前ですから、当然私にも会話の内容ははっきり聞こえます。
「今の830便を乗り遅れたお客さんで、安いチケット持っている人がいるんだけどどうする?」
再びブラックアウト
この瞬間、再び目の前が真っ暗になりました。人生2度目のブラックアウトです。
「やっぱりダメなのか! 安いチケットだとこういう時に融通がきかないのか! 確かに安いチケットだった!」 再び頭の中でグルグルと考え始めます。
「オレの海外旅行は成田で終わってしまった」「先生になんてお詫びしよう」と頭がいっぱいです。
とはいえ、運が味方したのか、私のほかにも同じ便に乗り遅れた4人家族がいたのです。同じ状況にいたこの4人家族のおかげで、ようやく心が落ち着き、緊張がほぐれていくのを感じました。
希望の光
絶望の中で差し込んできた希望の光、それはキャセイパシフィック航空の最終便でした。ユナイテッド航空の計らいでこの便に乗ることができると知った瞬間、胸の中にほっとした安堵の気持ちが広がりました。6月の比較的空いている時期で空席があったことが幸いでした。
これで何とか成田空港を出発です。
飛行機の中では、仲良くなったご家族と一緒に楽しい時間を過ごすことができました。
あとで知ったのですが、こういった場合、ユナイテッド航空がキャセイパシフィック航空に支払いをするのだそうです。裏事情を知り、驚くと同時に、ユナイテッド航空の寛大さには本当に救われた思いでした。
予想外の出来事に驚き、心が揺れ動きましたが、気持ちを切り替えていざ香港へ! 百万ドルの夜景に向かって、胸が高鳴るフライトが始まりました。これからの冒険に胸を躍らせながら、私は香港へと向かいました。
次回は、無事に香港へ到着した私が直面した、驚きの展開をご紹介します。はたしてどんな出来事が待ち受けていたのでしょうか?
どうぞお楽しみに!
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